手話ロックバンド BRIGHT EYES super-duper
──事前に演奏動画を見てくださっていた京都府立聾学校の生徒さんから質問をもらっています。
「自分と同じく耳が聞こえないのに、みんなに声を届けたいと意志や勇気があって尊敬しています。どんなきっかけでバンドを組んだんですか?」
(成田)みんなに偉そうに伝えたいとか、そんなことは考えていないよね(笑)難しいね。
(木村)聾者の中には基本的には音楽はダメと思っている人もいる。やりたいけどできないと思っている子もいる。
(成田)そういう子はよく見ます。
(木村)やっていいんだよ、チャレンジしてみたら良いんじゃないというメッセージかな。
(成田)さすがリーダー。でもバンドの初めのころの気持ちはそうだよね。
(木村)イカ天(*1)というテレビ番組があって、僕はそれを観たことがきっかけで自分もやってみたいと思ったんです。
*1)イカ天:1989-1990にTBSで放送された深夜番組「平成名物TV」の1コーナー、「三宅裕司のいかすバンド天国」の公式通称。当時アマチュアバンドブームで、この番組から現在も活躍する多くのバンドが輩出された。
(成田)それは見た目で楽しかったの?
(木村)選ばれた人、技術が高い人だけが音楽やバンドをするのではなくて、さまざまなアマチュアミュージシャンが出るイカ天を観て、音楽は誰でもやって良いんだとわかって音楽をやり始めました。
それと、僕は全国の聾者に対して、聾者だから音楽ができないというのではなくて、「やっても良いんだよ!」と伝えたい。
──当時音楽系のサークルは学校にあったんですか?
(成田)そう、当時は聾学校には音楽クラブというのはなかった。
小学部で和太鼓があったかもしれない。今は和太鼓はあちこちあるんだけれど、34年前は和太鼓もあまりなかった。
(木村)今は、ダンスクラブがある学校もありますよ。
(成田)木村君をはじめバンドメンバー全員は全国各地に行き、聾者のつながり、音楽でのつながりもありますが、その一方で音楽は、やる前から嫌いという人はいますね。
──手話の特徴ってありますか?
(鈴木)単語、単語ごと… 例えば、大事MANブラザーズバンドの「それが大事」の歌詞の「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じぬくこと」は意味はちがうけれど手話は同じになってしまうんです。歌詞の意味を考えながら手話をしています。
──手話を使って歌を歌うのはなぜですか?
(鈴木)なんでだろうなぁ…(笑)
(木村)初めのころは、基本的には手話で歌うって考えていなかった。途中で聞こえないお客さんが増えてきて、「手話を使ってくれないと意味がわからない。」となりました。そこで手話コーラスの人を入れたんです。歌詞の意味を分かってもらうためには、手話をするしかない。
──ライブでお客さんが手話をすることがあるんですか?
(鈴木)あります。「SIGN LOVE」のアイラブユー(*2)とかね。
*2)片手の親指、人差し指、小指を立てたもの。アメリカ手話の指文字の組み合わせといわれている。
(成田)何回も見に来てくれているお客さんの中には曲を覚えてくれている人もいて、手話を客席からやってくれている方もいるので、本当にありがたいです。
──コロナの時は、マスクがあるので何か苦労があったんですか?
(成田)練習の時は外していたよね。コミュニケーションの問題があるからね。
(木村)やっぱり口が見たい。手話は手だけでなく口元や表情も見たいんです。
(成田)スタジオの練習ではシールドでボーカルを囲んでやっていました。
──ブライトアイズが今後目指していることはありますか?
(木村)昔、CDとかDVDを作ってみたいと夢見ていたことは実現したので、今はずっと続けたい。
(山本)一緒にバンドをやれるということだけで良いです。
(成田)木村君が言うように無理なく楽しくずっと続けられたら良いなぁと思うし、山本君が入ってもう14年になるから、昔、山中湖に行って自主製作のCDを作ったりしたんですが、昔の曲は4人編成になってからアレンジが随分と変わったので、山本君が入ったアレンジでもう1度CDを取り直したいし、鈴木君のギターもかぶせたいね。
(鈴木)誰かが死んでバンドが終わる前に、Eagles(イーグルス)の”Desperado(デスペラード)” をピアノを弾きながらライブをしてみたいです。
(成田)英語の手話はできないんじゃない?
──英語の曲は、英語の手話なんですか?それとも訳して日本の手話ですか?
(成田)日本の聾者が見るなら、日本の手話が良いよね。アメリカの聾者が見るなら英語の手話かな。僕が聾学校の教師だったときは、アメリカの手話を英語の時間にやっていましたよ。
(鈴木)習ったけど忘れました(笑)
【インタビュー後記】
演奏前の打ち合わせや、インタビューの時も、通訳の成田さんが話してくださっている間に、互いに突っ込みをいれたり手話で楽しそうに話されているメンバーの仲の良さが印象に残りました。
「チャレンジしてみたら良いんだよ」というメッセージを34年間、体現されている素敵なバンドです。
■岡崎いきいき市民活動センター■
【協力】京都府立聾学校 高等学部のみなさん
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